広瀬 隆雄著『MarketHack流 世界一わかりやすい米国式投資の技法』を読んで

Market Hackの著者の本です。

Market Hackを購読している方にとっては大半の内容は復習になりますが、「あー、そういえばそうだったなー」と思い出すこともあります。
Blogを読み返す…というか、どこに書いてあったっけなーとBlogを探すよりは、一冊お手元にあった方が、知りたいことをさっと探せていいんじゃないかなあと思います。

私はいわゆるインデックス信者です。
Market Hackにはインデックス投資の弱点が書かれています。

インデックス投資の弱点は「マーケットは長期で右肩上がりである」ことを前提にしている点です。
(中略)
チャールズ・エリンやジョン・ボーグルなどがインデックス投資を提唱した時代は、マーケットにとってとりわけ幸福な時代だったことを忘れてはならないと思います。

私は個別株は持っておらず、ETFもしくは投資信託だけを持っています。
現在のポートフォリオは国内株12%、先進国株28%、新興国株24%、海外債券8%、定期預金28%です。
投資…らしいことをはじめたのは2005年で、そこからETFや投資信託を少しずつ買っていきました。
結果、どうだったかというと…

騰落率は、投資に投下したお金に対してどの程度上げ下げがあったか、例えば100万円の株があって110万円になったら10%です。
騰落率(年率)は、騰落率を年率換算したものです。例えば、100万円の株があって2年で110万円になったら、騰落率は10%ですが、騰落率(年率換算)は4.88%です。

ご存じの通り、2005年以降、リーマンショックだったり、東日本大震災があったりしました。
2005年から2013年までインデックスに淡々とお金をつぎ込んでいった結果、アベノミクスのおかげて、騰落率(年率)が2%になりました。もしアベノミクスがなかったら…今でも騰落率はマイナスで、つまり「新生銀行1.7%5年物の定期預金に全力で預ける」のが最適だったことになります。

※ちなみに、職場の私の同僚は同じくらいに2005年から新生銀行1.7%5年物に全力で預金を突っ込んでいました。2013年にすべて満期を迎え、さて、どうしたものか…と悩んでいました。まあ…そうですよねえ、仕組み預金でもない限り利率0.5%いけばいい方ですから…

おそらく、今後もインデックスだけだと資産の保全ができないのではないだろうと思いました。
そこで出会ったのがMarket Hackでした。

Market Hackは投資していない方でも、読み物として面白いです。「ああ、そんな企業があるんだなあ」とか、「エルサレムにはそんな歴史があったんだ…」とか。

インデックスのみだと厳しい現実を身をもって理解したので、次はMarket Hackに書いてあることを実践してみようと思います。

 

インデックスに分散投資しても-30%まで落ちることもある

最近の円安で5年ぶりにリターンが0%になったので記念投稿です。
私は2005年に投資をはじめました。
投資をはじめてからリターンがどのように移り変わったかのグラフを以下に示します。
縦軸はリターン…その時点での含み益(含み損)÷投資金額です。

2005年12月からしかグラフがないのは、ちゃんとリターンを記録しはじめたのが、2005年12月だったからです。

私はいわゆるインデックス信者です。
インデックス信者になる前は先物取引をしていました。
まだネットトレードが一般的ではなかったころに金の先物取引で 1ヶ月くらいで20万ほど損しました。当時の自分の一ヶ月分の給料で精神的にきつかったです。
その後、ネットで先物取引ができるようになったとき(そして手数料が桁違いに安くなったとき)に、先物取引のすごい人の本を読んでシステムトレードができるプログラム(ルール)を組んで、白金、とうもろこし、中部ガソリンの先物をデイトレードで1年くらいやって50万くらい稼ぎました。

しかし、プログラム(ルール)では儲からなくなってやめました。
当時自分が設定したルールは、白金は寄りつきで買って18円下がったら損切り、そうでなければ引けで売る、でした。

とうもろこしと中部ガソリンは前場より高かったら買い、次の場で下がったら売り、上がったらそのまま、最後の場で売り、でした。

※なぜ、とうもろこしや中部ガソリンの取引をしてたか?というと、板合わせだったからです。板合わせというのは…、株式取引やFXで採用されているザラバと違ってストップ高やストップ安になっても商いが成立することが多いので、やばい時に逃げやすかったからです。今は、夜間取引があるので、やばくなったらすぐに逃げられますが、当時、買いのポジションで、週末にストップ安で逃げ切れなかったときの悲しさといったら、なんともいえませんでした。

いろいろなルールを過去5年くらいの相場の価格変動で試して、それなりに利益が出るはずでした。それなり…というのがポイントで、ルールをシビアに設定すると例えばある1年で最高益をたたき出すルールを次の年に適用するとすごいマイナスになるということがあるので、それなりに利益がでるルールにするのが長い目で見てベストに見えました。

そんなルールで、それなりに儲けましたが、シミュレーションでは、そのルールでは…確か-8万円はいかないはずだったのですが、損失が-8万円を超えたので、ルールを捨てて、先物取引をやめることにしました。

ここまでで、私は

  • デイトレードで儲けるのは難しい
  • スイングで儲けるにも分析する時間がない

と思いました。株取引もちゃんと銘柄をチェックしないといけないので面倒さはかわらないな…と思っていました。
何かいい方法はないかなと思っていたところに、インデックス投資という考え方を発見しました。
インデックス投資の本…例えばウォール街のランダム・ウォーカー <原著第10版>―株式投資の不滅の真理だったり、敗者のゲーム―金融危機を超えて<原著第5版>だったりを読んで、ああ、インデックスは楽そうだなと思いました。

インデックス投資は私なりの解釈は以下の通りです。

  • 自身が取れるリスクと取りたいリターンを適当に決めて効率的フロンティア曲線に近くなるように資産クラスの比率を決めて、各資産クラスに対応するインデックスを買う

そこで、当時はどなかが作成されたExcelだったかと思いますが、今は長期投資予想/アセットアロケーション分析 ~ 投資信託のガイド|ファンドの海がいいかなと思います、こんなツールで、適当にアセットアロケーションを決めて毎月たんたんと自分で決めた比率で各資産クラスを買い始めました。

はじめて最初の2年間はプラス方向に5%から20%までのブレで、いやあ定期預金よりは全然いいなあと思っていました。

ところがサブプライムローン問題ですごい勢いで株価が下がりました。また円高も進みました。
当時のポートフォリオを記録していなかったのでなんともですが、 50%くらいは海外資産(先進国株、新興国株、外国債券)だったと思います。最低で-31%までいきました。

前述の長期投資予想/アセットアロケーション分析 ~ 投資信託のガイド|ファンドの海において全力で新興国株式を買って(新興国株式を100%に)、4年後にどうなっているか?を入力してみると、10%の確率で例えば100万円が70万円(-30%)になると分かります。
私のポートフォリオは、 もちろんそんな攻撃的?なポートフォリオではなかったのですが、-31%を記録しました。

想像したくないですが、もし2007年のリーマンショック前に全力で投資していたら、1年で約-50%を記録することになります。ちなみにほぼ天井で買ったEFA(iShares MSCI EAFE Index Fund)は、現時点でも-40%ほどです。おそるべしリーマンショックからはじまった欧州危機です…

株式投資の大原則は「過去は未来を保証しない」かなあと思っています。
-31%を記録したときに「インデックス投資もその例外ではなかったかな…」と思いました。
でも、インデックス投資にかわる何かが私の中になかったので、その後も淡々と投資をし続け、最近の円高でやっと0%になりました。

私の7年間のインデックス投資は0%成長でした。

ちなみに5年前に100万円投資していたら・・・を読むと、ここ5年間は日本債券最強です。
5年前に新生銀行の定期預金(5年もの、当時は年率1.7%でした)に全力で預金していればよかったなあと思いますが、まあ当時の自分はインデックス投資の方が良いと判断していましたので後悔はしていないです。

これからインデックス投資をはじめるみなさんへ

  • インデックス投資は万能ではありません。インデックス投資で、リスクをちゃんと見積もったつもりでいても、想定しないほどの含み損が発生することがあります。
  • 想定しないほどの含み損が発生したときに精神的に耐えられる程度の金額におさまる程度の投資額にしておいた方が幸せです。多分、1年間で貯蓄出来る額程度だったら耐えられるんじゃないかなあと思います。例えば、1年で12万円貯金できるのだったら、1年で12万円くらい含み損が出る程度のポートフォリオだったら「まあ、1年は全然貯金しなかったと思えばいいかー」な気持ちで。
  • インデックス投資が最高の投資方法かはわかりません。私はインデックス投資以上のいい方法を知らないのでとりあえずインデックス投資を継続しようと思います。
  • 一度に全部投資するか、ドルコスト平均法がいいか、とても長い目で見たり、確率で言えば、前者の方がリターンが高いと本には書いてありますが、人間、そんなに長生きではないですし、リーマンショック等のすごい下振れに襲われると少なくとも数年では取り返しがつかない損失を受けますので、ドルコスト平均法をお勧めします。