2002年5月30日
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一陸技

問題について

 問題を書くことは問題を解くよりはげしく面倒なので問題は書きません。別途入手してください。
 電波受験界2001年9月号を買うか、陸技の過去問に載ったら過去問を買うか、してください。電気通信振興会で入手できます。

平成13年7月

A-1

 静電界、誘導電磁界、放射電磁界は2回に一回くらいでる気がしますので、覚えておいて損はないでしょう。

微小ダイポールアンテナの距離rにおける電界(覚えているとうれしい) 微小ダイポールアンテナの電界
 E [V/m](電界) r [m](距離)
 この式自体は覚えないで、放射電磁界は距離rに反比例して誘導電磁界ってのは距離rの2乗に反比例するんだなってことと、距離rが大きいと誘導電磁界と静電界は距離の2乗とか3乗に比例するので無視していいことを覚えておけばおっけーです。

 まず□A。静電界というくらいですから、エネルギー流はなさそうです。□Aは存在しないです。
 次に□C。電波の進む図を見たことがある方は「直角に決まっている」と思うでしょう。□Cは直角です。この電波の進む図は電波に関する優しい本の最初の方のページに必ず載っているので、そちらをご覧下さい。
 最後に□B。この問題は良く出ます。λ/2π、この数式は覚えていて損はないので、覚えてください。
 答えは5です。

A-2

 logの計算が出来るだけで他には何も知識がいらないというお手軽な問題です。無線工学Bでは対数計算ができるだけで、点が取れてしまう問題がよく出てきますので、対数計算はマスターした方がいいでしょう。
 平成13年7月 1陸技 無線工学BのA-2の解説
 対数の計算結果は、だいたい10倍しますので、2.9×10=29[dB]です。電圧・電流の時は20倍、他は10倍と考えて置けばましがいないでしょう。
 対数計算については対数計算をご覧下さい。

A-3

 この問題も、最近よく見かけるパターンです。が、無理して覚えなくてもよく、その場でじっくり考えればOKでしょう。
 まず、1と2を読みます。1だけ読むと「どうかなあ」と思ってしまいますが、1と2を読むと言葉を変えて同じことを言っていることに気づくと思います。誤っているものが1つなので1と2は候補から外れます。
 次に3です。3を読むと「パラボラアンテナの軸に直角な平面が見かけ上の反射面と考えられる」とあります。だったら、はじめっから平面でアンテナ作った方がいいじゃん、と素朴に思いますので答えは3です。
 4は無線家の常識として覚えてください。
 5は、よーく読んで図を見て考えると、1と2と同じことを言っていることに気づきます。
 答えは3です。

A-4

 新問です。私は間違えました。実効長の考え方を知っていれば、電波受験界の解説を読んで「あーなるほど」と納得できるでしょう。実効長を知らない方は飛ばした方がいいでしょう。
 この問題はアンテナの実効長が分かればあとは式に値を入れていくだけの問題です。
 電波受験界によると『半波長に比べて十分に短いダイポールアンテナは、アンテナ電流の分布を三角形と仮定してよい』そうです。イメージは以下のようになると思います(思うだけです。嘘かもしれません。)
 平成13年7月 1陸技 無線工学BのA-4の解説
 実効長が1mと分かったので後は式に代入するだけです。
 平成13年7月 1陸技 無線工学BのA-4の解説
 答えは1です。

A-5

 まず□A。次元を考えます。p0が[W/m2]、PSが[W]なので、これを使って[m2]を作るには、PS/p0しかありえません。答えは4か5のどちらかです。
 次に□B。4πd2とd2を比べる際は無線工学Bの場合、前者を選ぶ方が分が良いです。この4πd2は球の面積です。密度とか面積とか出てきましたら、4πd2を選べばまず間違いはないです。したがって答えは4です。

A-6

 まず、反射係数の定義と電圧定在波比と反射係数の相互変換を知っていることが大前提です。これは、無線の試験に良く出てきますので必ず覚えておいてください。

電圧定在波比と反射係数の定義(まあ重要)
電圧定在波比と反射係数の定義
 S[単位なし](電圧定在波比) Γ[単位なし](反射係数)

電圧定在波比と反射係数の相互変換(重要)
電圧定在波比と反射係数の相互変換
 S[単位なし](電圧定在波比) Γ[単位なし](反射係数)

 次に共役複素数を使って、分母から虚数jを消すやりかたを知っていること。昔は虚数を扱う問題が少なかったと思うのですが、最近は虚数を使う問題が増えて来た気がしますので、覚えておきましょう。

分母が複素数だった場合の計算方法
 分母が複素数である式を計算する時は、分母に共役複素数をかけて、分母から虚数を消してから計算する必要があります。共役複素数という言葉は覚えなくていいので、計算方法だけ覚えてください。
複素数の計算
 次に具体例を示します。
複素数の計算

 ここまでの知識で2択にまで絞れます。
 最後に、虚数の絶対値の求め方を知っていること。これは個人的には知らなくてもいいと思ってます。
 それでは解説を。まず反射係数を求めます。
 平成13年7月 1陸技 無線工学BのA-6の解説
 途中に1/3が出てくるあたりで、「あ、答えは2か3かなあ」と思ってそこで計算をやめてもOKです。私でしたら1/3が確定した時点で計算をやめます。
 ここで、2か3の2択に絞れます。あとは運です。運なのですが、虚数の絶対値を知っていると答えがわかります。
 ここでは|Γ|=|1+2j|が分かればOKです。
 虚数の絶対値は(12+22)1/2な感じで求めます。答えは51/2になりますので、解答は3です。個人的には2択に絞れればこの問題はいいと思ってます。

A-7

 素朴に考えれば取れる問題だと思います。
 まず□A。低下するのはどう考えても伝送効率でしょう・・・
 次に□B。大電力を送ったら給電線が収縮するなんて、そんなことあるわけないので絶縁破壊です。
 最後に□C。「抵抗損は電流、電圧の2乗に比例する」「□C付近の抵抗損の増加量が大きくなる」のですから、□Cには大きそうな言葉が入りそうです。腹と節、大きそうなのは腹です。腹と節を知っている方は当然腹を選ぶでしょう。
 答えは5です。

A-8

 位相定数βと「特性インピーダンスは2つかけてルート」が分かっていればOKなお手軽問題です。

位相定数β
 β=2π/λ

1/4波長整合回路
1/4波長整合回路のとき、1/4波長整合回路の公式
 Z0[Ω](特性インピーダンス) Zq[Ω](1/4波長整合回路の特性インピーダンス) R[Ω](負荷抵抗)

 まず□A。位相定数は2π/λですので、答えはπ/2です。位相定数は時々でてくるので覚えておくのが吉でしょう。
 次に□C。インピーダンスの整合といったら、2つ掛け算してルートです。
 答えは2になります。

A-9

 過去問をちゃんと解いていれば20秒で出来るお手軽問題です。
 □A。誘電正接という言葉が出てきますし、導体を繋ぐとかそういう話題が出てこないので、答えは「誘電体損」です。
 □B。短縮率と言ったら波長しかありません。覚えてください。
 □C。過去問にありました。同軸ケーブルのモードはTEMなのですが高周波になるとTMとかTEモードが発生します。
 答えは1です。

A-10

 新問で、知らないと出来ません。そして私は知りませんでした。
 最初の選択肢は100kmか30km。中波だから、遠くまで飛ぶよな・・・30km程度で電離層反射波と干渉するとは考えにくい・・・100kmかなあ・・・
 次の選択肢は60度か15度。仰角15度で入射した波が反射してくると、地表に来るまですご〜く距離が必要そう・・・60度の電波が帰ってくると考えるのが適当かなあ・・・
 最後の選択肢は0.23か0.53・・・さっぱりわからん・・・0.53という数字をどっかで見たことがあるから0.53にしとくか・・・
と、適当に考えると当たったりします。

A-11

 八木アンテナの性質はよく出るので覚えておいて損はないでしょう。

定在波アンテナ(高調波アンテナ)
 使用する波長に比べて長い導体(半波長アンテナよりも長い導体長で使用する)を放射体として使用するアンテナで、アンテナ導体の終端は開放であるため、定在波がのる。

 ついでに進行波アンテナというのもあります。無線工学Bに出るのは「定在波アンテナ」と「進行波アンテナ」の2種類です。進行波アンテナの例としてヘリカルアンテナがあります。よく出ますので覚えておいて損はないでしょう。

 誤っているのは3だそうです。導波器が3本の時は6dB、5本の時は9dBと正比例はしません。
 こういう問題が出てきたら、合っている選択肢の内容をまるごと覚えてください。下手な参考書より、選択肢の内容を覚えたほうが効率がいいです。

A-12

 新問だと思います。はるか昔には出ていたかもしれません。
 電波受験界の解説によると、逆L型接地アンテナの水平部は電波の放射に寄与しないそうです。
 この事実を知っていれば、20[m・A]=l2×4[A]で、l2=5[m]と一瞬で解けます。
 私はこの事実を知りませんでした。電流分布から考えて1〜3の選択肢はありえない(どれを選んでも20[m・A]を超えてしまう。)ので、4か5だと思いました。4だと、水平部分の放射を考えないので5かなあと思ったのですが、やられました・・・
 個人的にこの問題はもう出ないんじゃないかなあと思います。逆L型接地アンテナの問題は時々出るのですが、同じような問題が出た記憶がないです・・・

A-13

 最近、航空関係の問題が1問は出ている気がします。しかも、いつも新問・・・やってらんないっす。
 □A。水平面内の指向性を知りたいのですから、水平面で回さないと意味がないです。したがって「水平」です。これで、3択までは絞れます。
 □B。カージオイドとサイクロイドはsinとかcosを習ったことがあるのならば、一度はお目にかかっているはずですが、大半の方は忘れているでしょう・・・これはカージオイドです。サイクロイドに関してはgoogleで検索するとたくさん出てきますので、どうぞ。
 □C。まず言葉の説明を。真方位というのは「本当の北」のことです。北極点に向かう方向のことです。磁方位というのは「磁石の指す北」のことです。磁石の指す北は本当の北からずれています。そして、余談ですが今もずれつづけています。このお話は多分中学生の社会か理科の時間に教えられているはずです。
 真方位を直接測定?する方法はありません。北極星も「本当の北」からずれています。まず磁石などから磁方位を求め、その値を補正して真方位を求めます。磁方位は直接求まります(磁石使えばOKなので)。したがって、直接求まる磁方位を使うのが手っ取り早いです。したがって、答えは磁方位です。
 と、自分を納得させました。
 航空の世界では磁方位を使うのでしょうか?

A-14

 自由空間伝搬損失を使う問題は必ずと言ってでますので、確実に計算できるようにしてください。
 平成13年7月 1陸技 無線工学BのA-14の解説
 あとは、一生懸命計算してください。答えは4.8[km]です。

A-15

 フェージングに関する問題は時々でます。暇の時、電車の中等で、電波伝搬の項目の「フェージング」を読んでおけばいいと思います。
 kと言えば、地球等価半径kです。k型フェージングの文中に地球等価半径という言葉が出ていたら、その文章は合っていると思って大丈夫です(今まではそうでした)。
 誤っているのは3です。回折と言うのは、例えば光が空気中から水面に入ると光の軌道が曲がる現象です。小学生の理科の実験で「お椀の底に10円玉を置く。ある角度からお椀を見ると10円玉が見えない。水が入ると見えるようになる。」というのがあります。この実験がまさに「回折」を確認する実験です。思い出せなければ、身の回りの小学生に聞きましょう。
 回折は偏波が垂直でも水平でも回折します。したがって偏波ダイバーシチしても駄目です。

A-16

 電離層の様子の漫画が描けることと[Hz]から[rad/s]への変換が出来ればOKのお手軽問題です。
 逆にいえば[Hz]から[rad/s]に変換できないと駄目な問題ですが・・・
 予備知識として一点。第一種減衰とは電離層を通過する時の減衰、第二種減衰というのは電離層で反射する時の減衰のことです。
 さて、[Hz]というのは波が一秒間に振動する回数の単位です。東日本の電気は50[Hz]ですが、これは電気の極性(プラスとマイナス)が1秒間に50回が入れ替わっている(振動している)ことを意味します。今回は周波数が5[MHz]です。電波の極性(プラスとマイナス)が1秒間に5百万回入れ替わっている(振動している)ことになります。
 [rad/s]というのは角速度と言います。速度の単位は[m/s]です。1秒間にどのくらいの距離を進んだか、それが速度です。角速度の単位は[rad/s]です。[rad]は角度の単位です(360[度]=2π[rad])。1秒間にどのくらいの角度を進んだか、それが角速度です。
 さて、我々は電波とか電気を絵で描くとき、以下のように書きます。
 平成13年7月 1陸技 無線工学BのA-16の解説
 この図を見ると分かるように一回の振動で2π[rad]です。なんで2πなのか? それは〜、radの定義の話になっちゃうので、勘弁です。
 1回の振動で2π[rad]、問題の電波は1秒間に5百万回振動します。ということは、2π[rad]×5百万[1/s]=10π×106[rad/s]です。
 以上のことがちょっと分からない方は以下の公式を覚えてください。
 ω[rad/s]=2πf[Hz]。電気の世界の常識です。
 さて、ωが分かったところで、次にΓを求めます。N、v、は既に分かっているので、間違えないように計算するだけです。
 解答で数値が与えられているので、多少いい加減に計算しても、出た答えに近いものを選べばいいというのがマークシート試験のいいところです。
 Γはだいたい0.92[dB/km]になります。
 ここで下の図より
 平成13年7月 1陸技 無線工学BのA-16の解説
電離層を通過する距離は14.1[km]×2になりますので、0.92[dB/km]×28.2[km]=25.9[dB]。答えは5になります。

A-17

 無線の常識を知っていればOKのお手軽問題です。交差偏波識別度は時々でてきますので言葉の意味を知っておくと便利でしょう。またマイクロ波を使うお仕事をするとよく出てくる言葉ですので、知っておいて損はないでしょう。
 まず□A。少し考えれば、偏波が同じじゃ電波が合成されてしまうと気づくので、□Aは「直交する」です。
 次に□B。問題文は「偏波が違うと、同じ周波数を使っていても、混じらなくてうれしい」という話をしています。そして「雨が降ったら駄目」と書いてあります。□Bには駄目になる原因の言葉が来ます。「結合」と「分離」、電波が混じりそうなのは「結合」です。したがって、「結合」を選びます。

 1・2陸技受験教室を見たら、「交差偏波識別度」がちょっと載ってないような気がするので補足説明。
 交差偏波識別度とは、送信側で垂直偏波と水平偏波を出した時、受信側でどの程度垂直偏波と水平偏波を識別できるかの指標です。電波の伝搬路に何もなければいいのですが、雨が降ったりすると電波が回折、散乱を起こして、垂直と水平の波が混じっちゃったりして、識別度が下がります。

A-18

 時々でる問題ですので、覚えておきましょう。
 □A。公式を覚えてください。

開口面アンテナの測定距離の最小距離(誤差2%程度)
開口面アンテナの測定距離の最小距離(誤差2%程度)
 Rmin[m](最小距離) D[m](アンテナの直径) d[m](アンテナの直径) λ[m](波長)

 □B。屋外ですので「オープン」が適切です。これは過去問にまったく同じ問題が出ています。
 □C。□Aと□Bが分かるので選択肢を見る必要はありませんが、答えは垂直だそうです。感覚的になっとくいかないですが・・・

A-19

 ハイトパターンの問題も時々でます。ハイトパターンの意味(なんで、ああいうグラフになるのか)を知っておいた方がいでしょう。
 答えは3です。ハイトパターンの意味を知っていれば問題なく分かりますので、参考書なんかを見ておきましょう。


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