このページの図を作成するにあたってはfunctionViewにとてもお世話になりました。こんな素晴らしいソフトがフリーなんて涙が出てきます。グラフを書くソフトはいろいろあったのですが、グラフを動かすソフト見つからなかったんですよ(; ;
給電線に交流電流を流すとアンテナに向かって電流がながれます(これを進行波といいます)。給電線はアンテナなどに接続しますが、給電線の特性インピーダンスとアンテナなどの特性インピーダンスが違うと、給電線とアンテナなどを接続したところで、電流が反射して送信機の方に多少戻っていってしまいます(この反射した電流のことを反射波といいます)。
すると、給電線には進行波と反射波の2つの波が存在することになります。この進行波と反射波を合成したものを定在波といいます。
ここでとりあえず、定在波はどんなもんかというのを見てみましょう。
下の図において、右の方にアンテナがあって、左の方に送信機があるとします。
右に向かっている黒い波が進行波、左に向かっている細い線の波が反射波、右に向かっている赤い線が定在波です。
縦軸が電圧、横軸が距離とします。
反射波が存在すると、アンテナに十分電力がいかなくなったり(アンテナに入るべき電力の一部が反射波として帰っていってしまうから)、送信機に電流が入ってしまったりしていい事がないです。したがって、反射波をなるたけなくすために、給電線とアンテナなどの特性インピーダンスを同じにするように頑張ります。
反射波がどの程度あるのか、ということを知るために昔の人は「反射係数」というのを定義しました。
反射係数=反射波の電圧/進行波の電圧
反射波の電圧は進行波の電圧より低いので反射係数は1より小さい値になります。また、反射波が存在しないときは反射波の電圧が0になりますので反射係数は0になります。
反射係数は0に近い方がうれしいです。
さて、反射係数というのを定義したものの、じゃあ反射係数を測定してみようと思っても測定できません。なんでかといいますと、進行波と反射波が合成されて定在波になっているので進行波だけの電圧、反射波だけの電圧というのが分からないからです。
縦軸が電圧、横軸が距離とします。
上の図では、進行波と反射波が書いてありますけど実際には赤い線の定在波しか観測できません。
そこで昔の人は考えました。その結果、定在波のなかで最大の振幅を持つ定在波の振幅と最小の振幅を持つ定在波の振幅の比(これが定在波比です)をいじると反射係数がだせることが分かりました。それが以下の式です。
定在波比=(1+反射係数)/(1−反射係数)
ところで、定在波のなかで最大の振幅を持つ定在波の振幅と最小の振幅を持つ定在波の振幅の比っていうのは、なんなんでしょう? 定在波って一つじゃないの?と思います。今まで示してきた図からでも、よーく見ると「定在波のなかで最大の振幅を持つ定在波の振幅と最小の振幅を持つ定在波の振幅の比」は分かるのですが分かりづらいので、ちょっと図をいじります。
まず、図に軸をいれてみます。そして原点からの距離がπ/2と3π/2のところに青い線、距離がπと2πのところに紫の線を引いてみます。この図も縦軸が電圧、横軸が距離です。
青い線と赤い線(定在波)の交点を目で一生懸命おってみてください。大きく上に下に動きますよね。この交点が上下に動く幅が「定在波のなかで最大の振幅を持つ定在波の振幅」です。
そして、紫の線と赤い線(定在波)の交点を目で一生懸命おってみてください。青い線と赤い線の交点に比べてあまり上に下に動きません。この交点の上下に動く幅が「定在波のなかで最小の振幅を持つ定在波の振幅」です。
点が動いているとわかりづらいので、上の図の左側青い線と赤い線(定在波)の交点の動きをグラフにしてみます。縦軸が電圧、横軸が時間です。
次に紫の線と赤い線(定在波)の交点の動きをグラフにしてみます。縦軸が電圧、横軸が時間です。
上の振幅が大きいほうの波が「定在波のなかで最大の振幅を持つ定在波」、下の振幅が小さい方の波が「定在波のなかで最小の振幅を持つ定在波」です。
定在波比=定在波のなかで最大の振幅を持つ定在波の振幅/定在波のなかで最小の振幅を持つ定在波の振幅
ですので、給電線の電圧を測って電圧が最大になる点(今回の例では例えば原点からπ/2の点です)を探して電圧を測って、電圧が最小になる点(今回の例では例えば原点からπの点です)を探して電圧を測れば、電圧定在波比が分かってどの程度反射波があるか分かることになります。
かは分かりませんが、定在波比が1ですと定在波がない、つまり反射波がないのでとてもよい状態です。定在波比は1から∞の値をとります。では、実際に反射係数と定在波比をいろいろ変えて波形を見てみましょう。
完全反射の場合です。こんなことは普通ありえないでしょう。
うちの大学のアマチュア無線のアンテナと給電線を測定したときにこの値をとっていました。よく送信機が壊れなかったと思います。入射した電力の半分が返ってきているのですから・・・
定在波比が1に近づけば近づくほど定在波と入射波の形は似てきて、定在波比が1になると一致します。
弱電の資格試験に受かるには、以上のことを理解している必要はなく公式を暗記し使えるようになっているだけでOKです。現に私は以上の事実を資格を取得してから6ヶ月後にしりました。
弱電の資格を取得するつもりならば、余計なことを考えずただ暗記すべきです。知識が欲しいならば資格試験のついでに勉強などせず資格とは別に勉強すべきです。
よく「理解できない」という書き込みなどがありますが、理解などせずそれをそのまま暗記すれば弱電の資格は受かります。弱電の資格はその程度のもんです。
資格が欲しいならそれ専用のテクニックを身に付けてください。
知識が欲しいなら資格とは別に勉強してください。